白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第5章 歪みに飲まれる愛
そしたら
二人でラブラブ残業タイムだったのに
沈みこむ脳みそを必死に
立て直して
研磨の家に向かうタクシーの中で
姫凪へメッセージを送る
いつも通り惚気けたLINEを送り
姫凪からの返信を待つ
可愛いスタンプの一つでも
来るかと思ってたのに
[ゴメンネ、今日は帰る]
絵文字も何もない
メッセージのみの冷たい返信
怒ってるのか?
それとも体調悪くなったか?
そう言えばこの前
ポロリと生理が来てないとか
言ってたような?
…おい、もしかすると
もしかするのか!!?
「スイマセン、電話して
大丈夫ですか?」
「ハイ。もちろん」
一応運転手さんに断りを入れ
すぐさま履歴から
コールを鳴らす
繋がったものの
〈…〉
向こう側から声が聞こえない
ゾワリと背中が寒くなる
怒ってるんじゃないとしたら
ヤッパリ身体が辛いって事だろ
ドクドク脈打つ心臓
嫌な予感がする
でも、この時の俺は
姫凪が体調悪いと疑わなかった
まさかこの寒気が
別の悪い予感を伝える物だなんて
思いもしなかった。