白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第5章 歪みに飲まれる愛
ユックリ近付いて来たナナが
俺の隣に腰を下ろし
「自分を悪者にしてまで
守りたい子?
そんなに…好きになったの?」
詰まる声で話を続ける
「ナナ…あの…」
「嫌だ…別れたくない…」
腰に絡みついて来た腕
涙に濡れるシャツ
震える身体は頼りなくて
愛しく思わないわけがない
本気で好きになった子だもん
愛しくないわけないよ
ここで頷いて
細い肩を抱き締めて
キスしてセックスしたら
もしかしたら
姫凪ちゃんを忘れて
またナナを
好きになって
姫凪ちゃんとのキスを
笑い飛ばす仲になるかもとも、思う
けど…
「私、徹…が好きだよ
徹が想像してるより
何倍も…好き…
浮気くらい…で
嫌いにならない
…なれないよ…」
切なく響く声は
余計に俺を冷静にしていくようだ
頭から振り払っても振り払っても
蘇るあの夜のキス
甘い声と柔らかい身体
拒絶にさえ滾った
俺の気持ち…。