白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第5章 歪みに飲まれる愛
「ナナ…」
「別れるなんて…言わないで」
涙声にまた胸が痛い
嫌いじゃない
好きだよ
本当に…大切にしたい
大切にしたいからこそ
「…ごめん。
俺、浮気したんだ
ナナ以外の子を…抱いた」
君を抱き締められない
「誰?向こうの職場の子?」
「…違うよ
たまたま会った
名前も知らない様な子
タイプだったし酔ってたし
…口説いて抱いた」
姫凪ちゃんの事は
バレないようにしなきゃと
咄嗟についた嘘に
「うそ…」
俺を睨む様に見つめて来るナナ
ドキッとして
目を逸らす俺
ナンパも抱いたのも
嘘だけど、つき通すくらいは
わけないと思ってたのに
ナナの"うそ"は
「ナンパして抱いたなんて
そんな子居ないでしょ?
そんな嘘ついてまで隠したい子なの?」
もっと俺の言葉の奥についてだった
「違うよ…」
「バカにしないでよ
これでも徹とずっと一緒に
居たんだから
徹のウソくらい分かるよ」