白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第5章 歪みに飲まれる愛
仕方なく次の電車に乗ろうとした
その時
「あれ?黒尾さーん
この駅使ってましたっけ?」
「あぁ…経理の?
いや、たまたま
こっちに用事があっただけ」
違う部署だけど
同じ会社の女子社員の子に声を掛けられた
「そうなんですね~
朝から黒尾さんと会えるなんて
嬉しいな
一緒に行きましょ?
って、言わなくても
方向同じ!」
朝からハイテンションで
豪快に笑って
俺の隣に並ぶその子に
少し綻ぶ口元
「どうしたんですか?
なんか顔も声も疲れてます…よね
あ!分かった!
昨日飲み過ぎた、そうでしょ?!」
「ハーズレ
ってか、朝から元気だな
少し分けてくれよ
なんか色々上手く行かんで
どっかの誰か並に
しょぼくれそう」
最近仕事もプライベートも
順調過ぎたからか
昨日から
どこか重ならない
二人の事が重くのしかかって来る
「上手く行かないって
仕事…じゃないですよね
黒尾さんのチーム
かなり好調って噂だし
まさか…カノジョだったりして…?
って!ヤッパリ言わないで下さい!
黒尾さんにカノジョ居るとか
私の方が凹んじゃう!」
「ハハッ!百面相ですかァ?」