白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第5章 歪みに飲まれる愛
姫凪を一度送り届け
少し早く出社すると
「おはようございます
黒尾さん今日は早いですね
ねぇ、今度映画行きましょうよ~
友達行けなくなっちゃって
チケット余ってるんですよ~」
受付の華からの
甘い誘い
いつもならココで
"マタ気が向いたら"とか
当たり障りなくあしらって
行く事はねぇんだけど
「俺は行かねぇって」
姫凪がやっぱり
良く思ってないし
そろそろ発表に向けて
下準備しとかなきゃな
「黒尾さん?
まさか彼女出来たとか??!」
「さぁて、どうなんでしょ。
俺じゃなくて赤葦誘えよ
ウルサイのが付いてきそうだけど」
目を白黒させる受付嬢に
ニヤリと笑い掛け
"もう誘わないでねェ"と
背を向けてエレベーターに
乗り込む
下準備するには気が早いと
思われるかもだけど
仕事が失敗する気配もなかったし
プロポーズの言葉も指輪も
順調に揃ってる
俺の未来予想図に曇りなんかなかった
絶対なんかないって言葉を
鼻で笑ってた
俺らにはあるんだよ、なんてな。