第5章 歪みに飲まれる愛

分かってる
分かってるから

「分かってますぅ…
これで我慢するから
チョットだけ大人しくしててクダサイ
本当は押し倒して
可愛がりまくりたいんですぅ…！」

離れないで、姫凪。

腕の中の感触を確かめながら
理性が暴走しない様に
軽いキスに留め

「姫凪、帰ったら
いっぱいシよーなァ…
マジで好き…」

耳に愛を落とす

『私も…鉄朗が大好き…
鉄朗だけが…好き…』

当たり前の様に返ってくる言葉が
押し付けた胸板に返ってくる
声の振動が心地よくて
我慢なんか俺の欲なんか
どうでも良くなるくらい
満たされてたんだ

そんな俺は
この時の姫凪のセリフが
全てだと信じてた
曇りなんかないと。

「…シンプルにスゲェ幸せ…
姫凪の今の言葉で満腹って事にシマス
よーし、戻るか！
木兎がまたしょぼくれる前に」

俺の言葉が
姫凪を苦しめてたなんて
思うわけもなく

ただ心を伝えてた

それに泣く顔なんか
想像出来なかったよ