白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第5章 歪みに飲まれる愛
遠くなる声をガン無視して
トイレを探しながら走ってると
一人壁を背に佇む姫凪が
目に入った
周りに人は居ないし
ナンパじゃなさそうだ
と、すると…
「姫凪ー?
どうした?気分悪くなったか?」
やっぱり体調悪いのか?
ボーッとする姫凪に近付き
顔を覗き込む
『鉄朗…』
「人混みに酔ったか?
顔色悪いぜ?」
オデコで熱を確認しながら
ゆっくり頬に手を滑らせる
熱はなさそうだけど
『大丈夫だよ
ごめんね、遅くなって
どこに行くか決まった?』
笑顔がどことなく不自然だ
「木兎はカラオケしたいとか
行ってるけど…」
『あぁ、うんカラオケねオッケー』
やっぱり。
なんか考え込んでるのか?
それはナンダ??
「え?良いのか?
珍しいな…」
俺に言えないとか
冷てぇな
まぁ、少し強引にでも聞き出すんデスガ…
「姫凪ちゃーん?
まずはチャント俺の目を見ましょーか?」
顎を跳ね上げ
目を見据えると
ウルウルしてる瞳に俺が映る