白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第5章 歪みに飲まれる愛
「なんだよ?
出張多くて喧嘩したのか?」
「…そんな所かな
ねぇ、俺もう帰って良いかい?」
深刻なオイカーくんの顔に
空気が重くなって行く
「そんなに彼女に逢いたいんですかァ?」
とかチャカして…る
「そうだね…」
場合じゃなかったデスね、スイマセン
「帰るよ。
逢わなきゃ始まんないしね」
哀愁を纏いまくった背中が
タバコの煙を掻き分けて
喫煙所から出て行く
まいったな…そんな顔で
出て行かれたら
お節介焼きの黒尾クンは
放っておけないんだが…
ガシガシ頭をかいて
まだ長いタバコを揉み消し
遠くなった背中を追いかける…と
「オイカーくん
勝手に行くと迷子になんぞー
…って、姫凪??
なんで??身体は?
つーか、一人で来たのか?」
まさかの小さな影が
大男の中に埋もれてる
姫凪!?
なんでココに!?
理解不能な状況に
追ってきたはずの
オイカーくんの事は
キレイさっぱり抜け落ちていく