白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第4章 消せない昔、消えない今(後)
甘く囁かれる言葉が
こんなに痛いなんて
『私も…鉄朗が大好き…
鉄朗だけが…好き…』
本当の気持ちなのに
こんなに声にするのが
苦しいなんて
消せない過ちのせいなのかな
及川さんとの事を
正直に話して
許しを請えば…
そう過るも
「…シンプルにスゲェ幸せ…
姫凪の今の言葉で満腹って事にシマス
よーし、戻るか!
木兎がまたしょぼくれる前に」
私の言葉を
一切疑う事なく信じてくれてる
鉄朗に言い出せるわけもない
繋がれた手を握り返す手に力が
入らないまま
時だけが非情に流れていった