白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第4章 消せない昔、消えない今(後)
「え?良いのか?
珍しいな…」
そうだ。
コミュ障の私が
カラオケなんていつもなら
一番抵抗する予定なのに
二つ返事で快諾なんか
怪しまれても仕方ない
でも、出てしまった言葉は
もう飲み込めないから
『そう?たまには…ね?
鉄朗の歌は聞きたいなーって…』
なんとか取り繕う言葉に
「お、オマエ…そういう事は
お部屋で二人切りの時に言いなさい…
こんな何も出来ない所で…
あ~…クソ…!可愛いかよ…」
照れて私を抱き締めて
頭にチュッチュッと
リップ音を立てる鉄朗
『鉄朗…!あの…』
「分かってますぅ…
これで我慢するから
チョットだけ大人しくしててクダサイ
本当は押し倒して
可愛がりまくりたいんですぅ…!」
慌てる私を優しく抱き締めたまま
ゴロゴロ甘えて来る姿に
笑顔を作れない
私、何やってるんだろう?
こんな誤魔化しばかりの言葉
鉄朗を騙してるんじゃ…
「姫凪、帰ったら
いっぱいシよーなァ…
マジで好き…」