白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第4章 消せない昔、消えない今(後)
いや、ガチじゃないけど
暴走が行き過ぎて
開いた口が塞がらない!
我が道を行き過ぎて
置いてけぼりを食らう私を
「俺が飽きさせるわけねぇじゃん
あの手この手で
クッタクタですぅ~
だから近付くな!
触ろうとすんなー!
つーか、姫凪が木兎を
見つめるわけねぇだろ
自信家め!
姫凪が見つめるのは
俺だけなんですぅ」
安定の過保護な鉄朗が
後ろから抱き締める
鉄朗の香りも声も体温も
何も変わらない
心地よくて気持ち良くて
そのまま身体を預けてしまいたくなる
なのに…
胸の奥だけがさざ波が立ってる
落ち着いてるようで
完全には凪いでない
その原因は分かってる
「(そうなの?)」
及川さん(コノヒト)のせい
唇が動くだけで
耳に落ちる音も
肌が触れる感覚も
なんにもないのに
脳は勝手に
及川さんとの夜の記憶を
鮮明に引き出して
凪ごうとする胸に
小石を投げ付けて
水面を揺らして
波紋を作ってくる