第4章 消せない昔、消えない今（後）

鉄朗の声に

「及川さんは一人で
ゆっくり飯食って帰りたかったのにさ
まぁ、別にいいけどさ…」

呆れた声が重なり
パチリと合った目が
優しい光を放ち
私を映してる

目を逸らしたいのに
タイミングを掴めない

「（見過ぎだよ、バーカバーカ）」

『！！？』

形だけ変える唇に
更に反らせなくなる視線に
満足そうに笑う及川さん

なんでよ
隣には大好きな鉄朗が居るのに
なんで私の目の中に
及川さんがこんなに長く映ってるの？

「なんだよ？
女っ気なかったから
怒ってんのかー？
ちっぱい姫凪も合流したし
少しは華も出ただし
むくれんなよオイカーくん！
てか、姫凪どうした？
どこ見てんだ？
まさか…」

や、やばい！
木兎さんにドストレートに指摘されたら
鉄朗が気にしちゃう！

「俺に惚れたか！？」

ん？チョット待って…

「え？ガチ？
そんな見つめられたら
いくら巨乳フェチの俺でも
ムラムラする！
てか、黒尾くんとのセックスに
飽きちゃったのか？
一回だけなら混ざってやっても…」