第4章 消せない昔、消えない今（後）

そこから何年も変わらず話した
二人の未来
何も変わらなかった
鉄朗の気持ちも
私の気持ちも

私の身体も

……なの、に


"…凄い…ビショビショじゃん
俺の指…融かす気かい？"

"もっと奥も掻き混ぜてあげようね
期待してるんでしょ？"

私は…鉄朗以外の人に…

頭に回る声と映像を

「……姫凪！」

強引にストップさせる
研磨くんの声

『研磨…くん…』

「…寝たら少しは
リセットされると思ったんだけどな
…良い夢、見れなかった？
うなされてたよ」

申し訳なさそうにする研磨くんに
"平気"と応えるけど
そんな言葉が素直に受け入れられるわけがない

研磨くんは分かってる

「嘘ばっかり…
ねぇ、姫凪
今回のプロジェクトから外れる？」

私がなんで苦しんでるかも
どうすれば
この苦しみが少しでも軽減されるかを。

『え？なんで…』

「関わってると姫凪が辛いでしょ？
もう普通に出来るとも思えないし」