白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第4章 消せない昔、消えない今(後)
よ、よし!
この流れはきっと悪くない
このまま誘惑…って
ちょっと待って!
『クロ…私…』
誘惑ってどうするのよ!
した事ないから分からないじゃん!
背伸びしようとした足が縺れて
ぐらりとクロの胸に
凭れて固まる私の身体
「…かたまり過ぎ。
そんな怖がんなくても…って
怖いよなァ
笑い話にするには
記憶が新し過ぎンよなァ」
一瞬キュッと抱き締められ
「とりあえず座って飲んで
お互い落ち着こう、な?」
ゆっくり離れて行く身体
私を座らせ
「姫凪ちゃんが寝るまで
側に居るから
飲んだらチャント寝なさいよ」
ヨシヨシと頭を撫でるクロ
『うん…わかった…
本当に側に居てくれる?』
「ん?もちろん」
クロは優しい
そんな所が好き
『手…繋いでてくれる?』
「お、おう。
姫凪ちゃんが望むなら」
大好きだけど…
『ありがと』
「どうしたんですかァ?
ありがとうって言う顔してなくね?」
『そんな事、ないよ』
なんでだろう
泣きたくなる