白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第4章 消せない昔、消えない今(後)
大きな手に触れると
ギュッと私の手が包まれ
「他人からみたら
彼氏に見えるかもなァ」
更に笑顔が溢れる
『そ、うだね…
彼女…だと思われるかも…』
揺らされる繋いだ手に
ドキドキしながら
絞り出す声が
「『嫌…じゃない?…へ?!』」
静かに揃う
「そこ、揃う?!
えーっと…俺は…むしろ
歓迎っていうか…」
『私も…嫌なんて…ないよ』
同じ気持ちだと
不器用に伝え合い
近くなる距離
もっともっとと焦る心も
「なら、いっその事…」
『は、はい!?』
きっときっと一緒だよね?
"付き合おう"
多分次はそう続くと思ってた
隣にずっと居て良いって
手を繋ぐ相手を私だけにしてくれるって
思ってた
思ってたんだけど…
「スマン、なんでもない
友達…だよな!ずっと!」
クロの唇は
期待とは別の答えを紡いだ
『ずっと友達…が(良いの…?)』
音にならず掻き消えた最後の言葉
「だよなァ!
今で十分幸せだし!
てゆっか早く帰ろう
顔、辛そうだぜ?
体調悪いのにハシャイでゴメン」