白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第4章 消せない昔、消えない今(後)
短いスカートを揺らして
"早く帰って来てね"と
ヒラヒラ手を振り
私達が来た道を歩いて行く背中を
見送っていると
「姫凪ちゃん
あの、何か騒がしいヤツでスマン
悪いヤツではないんだけど…」
クロが気不味そうに声を掛けてくる
何か返さなきゃ行けないのに
『…綺麗だね、元カノさん…』
うまく言葉が出て来ない
「そうかァ?
まぁ、一般的に綺麗ではあるだろうけど…」
『あぁいう人が好みなんだ…ね』
じゃあ、私なんて…と
続けてしまいそうな声を必死に抑えて
「へ?いや、俺は…」
『ここで良い…
まだ明るいし…』
先を歩くクロを追い越す
ヤキモチでグチャグチャになる前に
友達で良いって言ったくせに
モヤモヤした心で理不尽に責める前に
離れたいのに
「はァ?!
何言ってんだ?
明るいとか関係ねぇじゃん」
『アキナさんが待ってるし…』
「アイツが勝手に研磨達の所に
行っただけだろ?
俺は姫凪ちゃんと居たいんだけど?」
クロは追って来て
私の手をシッカリ握って来る