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白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18

第3章 消せない昔、消えない今(前)


そうか、この感じ…

「こんな姫凪見るの
あの時以来だね」

そうだ…この胸の痛みも
この苦しさも
あの日に似てる

息が整うと意識もハッキリしてくる
ハッキリし過ぎて

『研磨、くん…
私、どうしたら良いの…』

傷口が痛みを
全体に広げていく感覚が
身体をはしる

重なる過去
違うのは…あの日
私の身体は何の反応もしなかったのに
昨日もその前も
私の身体は及川さんを
受け入れようと濡れていた事…

「なにが?」

『私は本当に
鉄朗だけが好きって
言って良いのかな…
あんな事になったのに
拒否したのは口だけで…』

こんな私が
鉄朗に愛して貰うなんて
痴がましいんじゃないのかな…

罪悪感は
痛みを増幅させて
グリグリと傷口を抉る

息は整ったのに
身体の震えも涙も止まらない
感じる痛みは
全ては夢ではないと
私を戒める様に消えない

優し過ぎる鉄朗に
私を全身で全力で
信じてくれている鉄朗に
これからどう接して行けばいいのか
分からない
暗闇に取り残された様に
進む事も戻る事も出来ない
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