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白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18

第3章 消せない昔、消えない今(前)


優しい言葉が
綺麗なバラの棘のよう

『…鉄朗…』

嬉しいのに
甘えたいのに

『本当に大丈夫だから
木兎さんしょぼくれたら
大変でしょ?
鉄朗も仕事ばっかりしてたし
気分転換して来て、ね?』

一人で泣きたい自分が憎い

頑なな私についに
鉄朗の方が折れ

「…分かった。
もし、気分悪くなったら
スグ連絡する事!
我慢してぶっ倒れたら
嫌がっても離れてやんねぇからな!
木兎に電話して来る
土産買って帰って来るから
おとなしく寝てなさいね」

部屋を後にする

寂しいけどホッとしていた
泣いて泣いて
涙で全部流して
忘れなきゃ

及川さん事なんか…
あの夜の事なんか
全部全部忘れなきゃ…

「姫凪ー!
飯適当に作ってるから
食えたら食えよー!」

ボーッと部屋の端を眺める私の耳に
届く声に"ありがとう"を
返す間もなく
玄関のドアが開く重い音

せめて、いってらっしゃいは
言いたいと
慌てて部屋から飛び出し
玄関に走る
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