第3章 消せない昔、消えない今（前）

もっと早く会ってたら
キミは俺を選んだ？
いつ出会っても
クロちゃんを選んでた？

俺を選んでよ

きっとキミが思うよりは
真面目で
キミ思うより
一途で

クロちゃんに負けないくらい

キミが好きだよ

いつの間にかまた
姫凪ちゃんを想う自分に
ため息を漏らし
新幹線に身体を運んで貰った

ナナと別れたのは
宮城に帰った翌日
東京本社への転勤の辞令が出たのは
その一週間後だった