白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第3章 消せない昔、消えない今(前)
そんな俺の心を読んだ様に
孤爪チャンが溜息混じりに声を落とし
タバコに火を付ける
「もう一回言うね
邪魔するなで止まれない所まで
気持ちが来てるのは
間違いないよね?」
軽めのメンソールのタバコの煙とは
比べ物にならない
重い言葉に
「…間違いないよ。
じゃなきゃ此処に居ない
彼女と別れてもないのに
言うなって感じ?
電話やメールで済ませたくないから
まだ言ってないだけで…」
少し気後れしながら返すと
「別れるつもり…じゃないのは
わかってるからソコじゃない
別れを決めてるのは伝わるし。
だからそれじゃなくて
話聞いてて思わなかった?
今の自分と昔のクロ
同じ様な道を辿って来てるって」
灰を落として俺を見る
孤爪チャン
確かに思ったよ
強引に行って困らせた所も
制御出来ずに
口説き落とそうとした所も
今の自分と重なり過ぎて
嫌になってたから
でもそれが今どう関係あるのさ?
「だから?
俺とクロちゃんは違うよ」
俺は俺だし。
二人の過去に何があっても
姫凪ちゃんを好きなのは
変わらない。