白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第3章 消せない昔、消えない今(前)
勝手な妄想で盛り上がる脳内に
煽られて
『要らないっ!
悪い顔しないで下さい!』
「そっちこそ
可愛い顔しないでクダサイ
家まで保たなくなる
…行こうぜ、姫凪」
また呼び捨てとかして
でも、今度は茶化す後付は無し
「大丈夫、優しくする」
肩を抱いて囁いて
小さい頭にキスを落とす
震える身体も愛しくて
想いも欲望も飽和状態
研磨が煽り役無しなら
二人きりならなると言った
"ヘタレな俺"には
到底なれそうになかった
家に着き
更に緊張する姫凪ちゃんを
部屋に案内して
俺はキッチンでお茶の準備
コーヒーを淹れて
お菓子を更に乗せて
エチケットのゴムもポッケに忍ばせる
落ち着け、早まるな
相手は初めてなんだ
優しく優しく…
ブツブツ自分に言い聞かせて
目立たない様に
息子の位置を直して
「お待たせ」
下心なんか無いって顔して
部屋のドアを開けると
どこにも座らず
立ったままの姫凪ちゃんと
目が合った