白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第3章 消せない昔、消えない今(前)
『研磨くん!』
「嫌なら"帰る"って言いなよ
自分でね。
姫凪が嫌がったら
優しい黒尾センパイは
無理矢理連れ込んだりしないからさ」
『そ、そんなこと…言ったって…』
「決めるのは姫凪だよ
傷口を庇ってばっかじゃなくて
そろそろ癒やしを
求めに行っても良ンじゃないの?」
俺の近くで繰り広げられる会話も
薄っすらしか耳に入らない
二人切りになれるかも知れない期待に
ソワソワしっぱなしで
「癒やして欲しいンですかァ?
俺は姫凪ちゃんなら
大歓迎だけど…姫凪ちゃんは?」
もう頭の中は邪念でイッパイだ。
姫凪ちゃんの顔を覗き込んで
その表情を確認する様に
ジッと見つめると
『わ、たしは…』
…可愛いっっ!
これはオッケーだろ?
オッケーに決まってる!
「…部屋、来る?
大丈夫…姫凪ちゃんが
嫌がるなら何にもしないから」
好み過ぎる反応に
紳士な態度などどこへやら
いつかのアイツみたいな
軽くて強引な誘い方