白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第3章 消せない昔、消えない今(前)
リエーフのデカイ手に
シッカリ掴まれた小さな手に
パチンとスイッチの入る音
「はい?クロさん?
手…って、コレ??」
「それ以外に何があるんですかァ?
気安く触んな…」
自分でもビックリするくらい
大人気ない言動
【あんたあの娘のなんなのさ!】状態。
「とりあえず離せ」
キョトンとしてる
リエーフから引き剥がした
姫凪ちゃんの身体を
自分の胸に引き寄せ
「姫凪ちゃん、大丈夫?」
顔を覗き込む
『は…い…』
久々に近くで見る
赤い顔にゾワゾワと肌が粟立つ
やばいくらい可愛くて
尚更さっきリエーフに掴まれてた
右手に嫉妬が止まらない
上書きしてぇ…
「そうは見えねぇけど?
保健室寄ってく?
…行こうぜ?」
男を嫌いになった
あの記憶を消し去るくらい
激しく濃厚に
俺だけを刷り込みたい
たかが手一つでここまでとか
俺どんだけよ。
リエーフに手を掴まれた時より
『クロ…ちょっと待って…』
戸惑う顔にも
ブレーキが掛からない
食いたい
喰らい尽くしたい
このまま全部
奪いたい