白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第3章 消せない昔、消えない今(前)
サッサと行ってしまった研磨を
恨めしく思うものの
言われた事は最もで
動かなきゃ始まんねぇよな、とか
単純に思っちゃって
[いつヒマ?
お茶でもしねぇ?]
とか、送っちゃう俺。
[予定ないのでいつでも]
速攻で返ってきたメッセージに
ガッツポーズをして
[放課後迎えに行くから
教室で待っててクダサイ]
俺も高速で返事をする
部活がない日を
これ程ありがたいと思った事は
初めてだったし
こんなにワクワクするのも
久しくなかった
たった一通のメッセージで
何もかも上手く転がる気がした
そんな簡単なら苦労しないのにな
俺が思う以上に
姫凪ちゃんの傷は深かった
俺の言葉に揺れる度に
傷口は開いて
カサブタが剥がれて血が噴き出した
それを隠す様に笑う顔を
俺への好意と思い込んでしまった
強引に行けば
なんとかなるって浮かれた
浮かれ過ぎて
やらかすのは数時間後。
「研磨ァ!早く来い!」
「おれ要る?
遊ぶなら二人で遊べば?」
「バカ!そんなイキナリ無理ですぅ!
どうせヒマだろ
俺の恋を応援してクダサイ!」