第3章 消せない昔、消えない今（前）

眉間に寄せた大量のシワは
揶揄ってるとか
弄ってるとかじゃなくて
本当に苛ついてる時のサイン

こういう時に俺がはぐらかすと
状況は悪化するのは
長年の付き合いで経験済み
…と、なれば

「…分かってる。
ヘタレてても仕方ない事なんか
でも、やっぱ…拒否られんのは
痛いしさ…
頭撫でるだけであんなに
ビクビクすんのに
誘って来るとも思えなくてさ」

素直に弱音吐いてしまうのが良い

「一気に何もかもやろうとするからでしょ？
姫凪と会ったときも
急に進んだわけじゃないじゃん
クリア出来そうにないゲームは
積み重ねが大事なんだよ」

あくび混じりで
やる気あるってわけじゃない口調だけど
的確な事は言ってくれる
それで何度も救われてるからな
ただ、一つ問題なのは
弱音吐かせるだけ吐かせといて

「じゃあ研磨、今度一緒に…」
「イヤだ、面倒くさい
今更話しかけられないとか
甘ったれた事言わないでよね」

甘さ控えめなんだよ
甘やかして欲しい時に限って

「普通にしてれば良ﾝじゃない？
トモノリってヤツと
クロは違うんだからさ」

塩対応が過ぎるんだ