第3章 消せない昔、消えない今（前）

真っ赤になる耳
震える肩
揶揄ったつもりはないけど
きっとキミには
そう映らないから

"分かったから離れて"とか
"また揶揄う"って
逃げて行くとばかり思ってた

なのに

『会いたい時とか
話せない時とかに
距離があるって
もどかしいですよね…
分かります…凹む事じゃなくても
不安になったり
泣きたくなったり…
ありますよ、そんな時も…』

キミは俺の予想を尽く覆すから

「姫凪ちゃん？」

『生意気言ってスイマセン
でも、なんか…分かるなって
思っちゃって…
実は私も…って！
私の事なんか興味ないって…ね』

「そんな事ないよ？
姫凪ちゃんにも色々あったの？
クロちゃんと…だよね
聞かせてよ、参考になるかも知れないからさ」

この距離を失いたくなくなる

きっと最後は惚気話になるんだろう
だってあんなに
ラブラブなんだから
ぶっちゃけ凹んでなくても
他人の惚気は
あんまり聞く方じゃないんだけど
惚気もこの際アリだって思っちゃった

『参考とか…そんな大した話じゃ…』

話の内容なんか
この際どうでも良いんだ、ごめん。