白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第3章 消せない昔、消えない今(前)
俺がオオカミだったら
どうするのさ?
クロちゃんが居るから?
孤爪チャンが居るから?
いや、例えここに
二人が居なくても
きっとキミは俺を冷たく
突き放したりは
しないんだろうね…
そんなキミだから
「…ありがと。
じゃあお言葉に甘えようかな
姫凪ちゃん…
もっと近くにおいでよ」
俺は素で居られて
『話を聞くだけだって…』
「大きい声で話したくないんだよ
だから来なよ
大丈夫…今は襲う気力もないからさ」
辛い夜を一人で越えずに済んだんだ
渋る姫凪ちゃんを引き寄せ
「こういう事、前からあってさ
まぁ次の日にはケロッとしてるから
俺も釣られて笑うんだけど…
チョットずつだけど
モヤモヤは溜まっててさ
別にナナの事を
悪く言うつもりはないんだ
それがマイナスに振れた
振り子の位置を戻す為なら
二人の為の距離なら
良いとすら思ってるんだ
でも…今夜は何でかな
妙に凹んじゃってたから
…キミが居てくれて良かった
ありがとう」
耳元に声を落とす