第3章 消せない昔、消えない今（前）

強引なのも通常運転だよ
別に隣に誘うのなんか
深い意味はないよ、全然…全く！

『そ、うですね…ないです』

言葉とは逆に
警戒心の強過ぎる顔
隣と言うには少し空き過ぎた距離を
潰す様に

「遠い。
もっとコッチ…」

姫凪ちゃんを引き寄せる

俺の声に手にビクビクする
反応を楽しみながら

「聞いてよ、姫凪ちゃん」

ユックリ本題に移った

最初は軽い惚気から入って
さっきの話まで
時々大きなため息をもらしながら。

「俺が悪いのは分かってるんだけどね
もうチョット繋がってたかったのにって
不満は拭えなくてさ…
姫凪ちゃんならどうする？
例えばクロちゃんと同じ事になったら
やっぱり話したく無いって
少し時間欲しくなったりする？」

黙って聞いてた姫凪ちゃんに
話を振ってみる
べつに本格的な相談とかじゃなかったし
単に俺ばっかり話してて
退屈だろうなって振っただけだった
"知りませんよ"とか言われて
"だよねー"って笑って終わり
それくらいだと思ってたんだ