第3章 消せない昔、消えない今（前）

頭を撫でて髪にキスを落とし

「飲み過ぎたかな
凄いネガティブでさ…
このまま終ったらどうしよ…」

普段なら絶対吐かない弱音を吐いてしまう

『話聞くだけですから！
それ以上のサービスは…！』

触れるだけの
しかも髪の毛へのキスで
キャンキャン吠えて
一気に遠くなる距離が
凄く姫凪ちゃんらしくて
凹んで辛かったはずなのに

「ﾌﾞｯﾌｫｯ！そんなの期待してないから
ほら、早く話聞いてよ
なんにもしないから隣おいで？
大きな声で話してたら
クロちゃん起きて来て
誤解されちゃうしさ」

通常運転に戻りかけてる

笑ってすすめた空いてる隣

『…鉄朗は
話してたくらいで誤解しません…
私が鉄朗だけなの知ってますから』

惚気て来る姫凪ちゃんにも
気持ちは通常運転だ…多分。

「へぇ？なら良いじゃん
隣で聞いてよ
大きい声で話したい内容じゃないんだ」

『…分かりました
でも！触るのは禁止だし
変な事言うのも禁止だし
それに…』

「禁止多すぎ
良いからおいで
クロちゃん以外
意識しないなら問題ないだろ？」