白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第3章 消せない昔、消えない今(前)
私の言葉に驚いた様に目を丸めた及川さんが
「ありがとう優しいね、姫凪ちゃん」
ニコリと笑みを零す
『そんな事ないです。
"普通"です。
何かあったら仕事振って下さいね』
優しくなんかない
さっきさせた顔に対する罪滅ぼしが
こんな事しか思いつかなかっただけ
コミュ力も可愛げも何にもないの
だから
「へー美味しいねー
コーヒーに合う!
姫凪チャンこういうの好きなの?
今度お土産買ってきてあげるよ
マッキーがこういうの売ってるお店
詳しいから聞いてくる」
そんな無邪気に笑いかけないで
『…結構です。
お気になさらず。
ただの誰かのお土産の残りでしたから』
可愛くなんて返せない
「…ハハッ、あ~…ねぇ
あるよね、そういうの
いつのだ?!みたいな?」
『賞味期限は切れてなかったです』
「…そ、それは何より!
まぁ、1ヶ月や2ヶ月平気だけどさ!」
『…そうですか?頑丈な腹ですね』
ほら、また。
返答に困る事しか吐き出せない