白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第3章 消せない昔、消えない今(前)
短くも重い沈黙に
申し訳なさが込み上げて来た時
「おれのにはお菓子付いてなかった
姫凪、それどこにあるの?
教えて?ほら、どこどこ?」
研磨くんが
腕をグイグイと引っ張って
及川さんから私を引き離し
先程出たばかりの
給湯室に引き込んだ
『え?なんですか?
お菓子なら応接室の机に山ほど…』
研磨くんが来る時は
鉄朗もその上も
沢山応接室に揃えてるはずなのに…
そう思って首を傾げる私を
「姫凪って
オイカーサン?と知り合いだった?」
不思議そうに見る研磨くん
『昨日、初めて会ったけど…
なんで?』
及川さんの名前に更に目を丸め
首を傾げると
「…そう。
別に大した事じゃないよ
なんていうか、距離が気になった
少し引っかかるなーって…」
真ん丸い目がコーヒーを啜る
及川さんに向けられ
何かを探る様に目を閉じて
考え込む研磨くん
引っかかる?何が?
まさか私、何かあった事が
丸わかりな態度で
及川さんに接してた?