白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第3章 消せない昔、消えない今(前)
研磨くんから離れ給湯室に移動して
カップの用意をしてると
「クロちゃんは会議の鬼なのかな!
及川さんバテるー…お腹空いたー!
あ…居たの?」
後ろからの
大き過ぎる独り言に身体が揺れた
『あ、どうも。
コーヒー淹れましょうか?』
焦ってる顔を隠して
なんとか声を出すと
「あー…うん。
ついでなら淹れて貰える?
…休憩中?姫凪ちゃん」
ユックリ近付いてくる及川さん
『あ、いえ…
孤爪さんにコーヒーを…』
距離が詰まらない様に
近付いた分だけ
歩を後ろに進めると
程なくお尻が壁にぶつかる
「…そんなに避けなくても
別に朝みたいな事しないからさ
普通にしてなよ」
分かってる
この人に下心なんかないのも
私に興味があるわけないのも
分かってるのに
近付く匂いに強張る身体
「…まぁ、無理なら仕方ないね。
コーヒーはミルクだけ砂糖なしで
俺、外に出てるからごゆっくり」
そんな私を見て
困った様に眉を下げた及川さんが
給湯室の扉を開く