白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第3章 消せない昔、消えない今(前)
「じゃあオイカーくん後でな」
「はいはーい
なる早で来てよ?
今日も朝から忙しいんだからさ」
「分かってる
研磨も朝に顔出す的な事
言ってたから
姫凪送ったら
ダッシュで向かう」
私と鉄朗は車へ
及川さんは駅に歩き出す
何気なく視線を送ると
チラリと振り返った及川さん
"気を付けて"と動く
唇に目が釘付けになる
小さく頭を下げると
優しい顔で私に手を振って
早足で去って行った
「姫凪、大丈夫か?」
『え?なに?』
「オイカーくん。
チョット苦手なタイプだろ?
スキンシップが過ぎると言うか…」
前を見たまま
苦笑いを浮かべる鉄朗
『…うん…なんとか…』
そうなんだよね。
一番苦手で本来なら
絶対関わりたくないタイプなんだよね。
なのに…
「なるべくオイカーくんは
近付かない様に
仕事振るから」
『あ…そこまでじゃ…ないよ』
何言ってるんだろ、私。