第3章 消せない昔、消えない今（前）

わかってる
隠し通せる程
私は器用じゃないけど

この人だけを悪者にするウソをついて
平然としてるなんて

『…結構です。
そんな事してもらう義理は
ありませんから』

もっと出来ないよ

首を横に振って
及川さんの身体を押し返し

『私は…隠し通す方を選びます。
昨日の今日だから
こんな感じだけど時間が経てば…』

必死に張った意地

「…強情っぱり。
及川さんが
ここまで言ってあげてるのにさー
とりあえず…チョットだけ我慢しなよ？」

ため息と共に溢れた言葉と

『う、わっ！なにす…るんですか！』

意味不明再び！
しかも今度は…

「んー？なーんだろ？
姫凪ちゃん良い匂いだねー」

スキンシップが過ぎる！！

『知りませんっ！
本当にヤダ…！』

油断してた身体は
長い腕に絡めとられて
離れたばかりの胸に包まれる