白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第3章 消せない昔、消えない今(前)
近くなった整った顔
鉄朗と同じシャンプーの香りは
小さく小さく私の耳に声を落とし
「クロちゃん、今日の予定って
どうなってた?」
アッサリ距離を取って
イスを軋ませる
まるで昨日の夜の事は
夢だったみたいに
会ったときと変わらない態度で
私に接して来る
もしかして
本当は夢だったのかな?
なーんて…ね。
「オイカーくんが帰る日まで
会議地獄だ。
なんせ宮城と東京だからなァ
詰められる所まで
詰めておかねぇと
その為にも俺も姫凪も
食っとかないとなんで
玉子焼きは諦めろ」
「及川さんも
食っとかないとなんですけど!?
ん?携帯鳴ってない?
俺ー…じゃない、ね
クロちゃん?」
「んー?…ゲッ。研磨だ。
チョット電話出て来る。
姫凪チャント食っとけよ」
「…はぁ。そんな調子で
大丈夫なの?姫凪ちゃん」
夢だったらこんな質問されてないよね。