白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第7章 新たな幕開け
「そ、そっか。
じゃあ、行こう?」
背中に触れる大きな手
背中じゃなくて…と思うのに
『はい…』
上手く言葉が繋げない
「お弁当で良い?
あれだけ気合い入れて
作ってきたんだ
さすがにもう材料ないでしょ?
今から作るにしても
疲れてるだろうし…」
『はい…そうですね』
距離を保ちながら
話す及川さんに
少し擦り寄りながら
『あの…お弁当…』
ホントは及川さんにだけ作ったって
言いたかったのに
「あぁ、ありがとう。
楽しいランチだったよ
皆の分作ると思ってなかったし
大変だったでしょ」
やっぱり及川さんは
最初から皆でって思ってたんだよね
だから二人じゃなくても
私みたいに
『別に、あれくらい…』
凹んだりしないんだよね…
せっかくの二人きりも
ドンドン暗くなり
沈んでいく空気
「…姫凪ちゃん…」