白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第7章 新たな幕開け
資料をまとめながら
顔を上げた私を見て
「大丈夫ですよ
貴女に帰りに何かあったら
仕事しなくなりそうな人が
二人も居るのでね
ほら、これも。
後は俺が引き受けますから」
苦笑いを浮かべながら
手から資料を取り上げ
着替えて来いと促す
『二人…ですか…』
クロはそうかも知れないけど
及川さんは別に私なんか…
って、暗い暗い!
仕事仕事!
職場ではチャントしないと!
「布施さん?」
『いえ、黒尾さんに
怒られそうなので
お言葉に甘えて上がりますね』
席を立ち更衣室に向かう廊下
「姫凪」
『あ、クロ…どうしたの?
コーヒー?』
クロと鉢合わせた
「いや、一服」
『そう…じゃあ先に上がるね
また明日』
言葉少なに通り過ぎようとした腕が
「どうした?泣きそうな顔して…」
懐かしい温度で掴まれる
『どうもしないよ?
パソコンとにらめっこし過ぎて
疲れてるからじゃない?
大丈夫、だよホントに』