白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第7章 新たな幕開け
せっかく二人きりで部屋に居て
ご飯も作って
褒めて貰えて
嫌でもムードなんか
盛り上がらなきゃウソなのに
『え?あぁ…それはモチロン…
及川さんが買ってきた
材料ですし…』
「なに?姫凪ちゃんが
食べたいなら無理にとは…」
『いえ!全然…大丈夫です』
「なんだよ、変なの…
美味しかった、ごちそうさま」
『おそまつさま…』
結局空気は和む事も
まさしてや甘くなる事もなく
ただただ時間だけが
過ぎて行き
『…じゃあ、また』
「…おやすみ、またね」
あんなに意気込んだのに
アッサリさよならを受け入れて
また一人ぼっちになってしまった。
『そんなに魅力ない、かな…
二人きりなのに…
寝ぼけて抱き締めたのは
あの時と同じで
私と誰かを間違えただけ?』
聞きたかったのに
聞けなかった事たちが
今更唇から零れ落ちる
こんなんじゃダメだ。
もっとこう…グイッと…ね?