白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第7章 新たな幕開け
私だって…
そんなに不味くはないのに、な…
パクパクとオカズを口に運びながら
ニコニコしてる及川さんが
「可愛くて家庭的って
最強じゃない?
お嫁さんにしたいくらいだよ」
ポロリと零した言葉に
『そ、そうやって
すぐ軽口叩く!
揶揄わないで!
早く食べてください!』
素直に喜べば良いものを…
「揶揄ってなんかないって
それに俺はキミが思うほど
軽くないよ」
『信じられません。
いままでが今までですから』
可愛くないな、私は。
信じられない、なんて嘘。
信じたい。
信じさせて欲しいのに…
「そりゃ残念。
でも、美味しいのは嘘じゃないよ
おかわりある?」
アナタは
それ以上は食い下がってはくれなくて
私も
『…はい、たくさんあるので
好きなだけどうぞ』
踏み込めなくて
ただ、その場の雰囲気を
維持する言葉を吐き出すだけ
「じゃあ残ったら頂戴
岩ちゃん達にお土産にするから
出掛ける時見た
あのご飯が食べられる様に
なるとは思えなかったんだよね
結局ウーバーで散財する絵しか
浮かばない」