白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第7章 新たな幕開け
キッと俺を睨む目は
辛うじて涙をまぶたの手前で
止めている
「…なんでさ?」
『…鉄朗…クロが
心配する…から
幸せにならないと
笑ってないと…
クロが幸せになれない、から…』
…なんだよ、それ。
別れても好きなのは
分かってたけど
少しは薄れているかと思ってた
でも、全然だし
「じゃあ、早く幸せにならないとね?
…俺が幸せにするから
俺のモノになりなよ、姫凪」
『嫌です!』
望み薄すぎて泣けてくるじゃん。
「冷たいね!姫凪は!
俺が幸せにするって言ってるのに!」
『大丈夫です!
勝手に幸せになりますから!』
「出会いもない上に
極度の男嫌いなのに??
どうやって??」
『…ぅぐ!
呼び捨てにしないで…
これから頑張るんですぅ!
放っておいてクダサイ!』
クロちゃんと
どこか似てる口調のキミに
望みはどんどん薄くなるのに
「手伝ってあげるよ
男嫌いの克服も
次の幸せも、さ」
俺の気持ちは増す一方