白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第7章 新たな幕開け
「タバコ吸ってきまーす」
喫煙ルームに行くフリをして
覗いた給湯室
やっぱり居た
小さくて愛しい影。
真っ赤な顔を小さい手で覆って
なんかブツブツ言ってる
「どうしたのかなー?」
『ひゃ、ぁあ!』
背中に掛けた声に
飛び上がる姫凪ちゃん
「ブッフォッ!外さないリアクションだね
ホント可愛いよね、キミは
ねぇ、今日の夜
空いてるでしょ?
珍しく仕事も落ち着いてるから
チーム皆、定時で帰れるしさ
行こうよ?」
『…嫌です。BARもお酒も苦手です』
そう言えば全ての始まりは
俺が酔ってクロちゃんの家に泊まった
事からだったもんね
警戒するのは当たり前、か。
でもまぁ。
「普通のご飯屋さんなら良い?
俺も飲まないし
飲ませないから、ね?
奢ってあげるから行こうよ」
退く選択肢はないんだけど。
『いや、だから
なんで私なんですか
帰ったら岩泉さんもいるじゃないですか…』