第15章 狼と眠り姫【カラ松】※
「…、」
「…ん…?」
体を軽く揺さぶられ、目を覚ます。声のした方を向くと、カラ松が私の顔を覗き込んでいた。
「カラ松…あ、起こしてくれたのね…」
「ああ。ブラザーたちが帰ってきたから、一緒に下に降りよう」
「うん…」
まだ少し眠い…どれくらい寝ていたんだろう。太陽は沈みかけてるみたい。
起き上がりながら、彼に悟られないように自分の着衣を軽くチェックする。特におかしなところはない。
信じてはいたけど、眠っている間本当に何もしなかったんだ…やっぱりカラ松は一番まともな人。初日のあれは単なる気の迷いだったのね。
階段を降り居間に入ると、すでに全員が揃っていた。
「あ、ちゃん!」
「だー!」
「お、お邪魔してます」
それまでだらけていたみんなが、私の登場で一気にテンションを上げるのを見て思わず苦笑してしまう。こうも分かりやすいと、一周回って可愛らしく思えてくるわ。
「チョロ松。昨日はタオルありがとう」
「ああ、さっきカラ松から受け取ったよ。その、わざわざごめんね」
「気にしないで。それと、トド松」
「うん?なーに、ちゃん」
「スマホ貸して。既成事実を抹消するわ」「なんだか顔怖いよ!?」
トド松の必死の抵抗も虚しく、私は彼からスマホを奪い取って写真を消去した。側で彼がムンクの叫びみたいな顔して絶叫してるけど無視よ無視。
「ー!せっかくうちにいるんだからみんなで遊ぼうよー!」ドーンッ「わぁっ!?」
安堵していると、今度は十四松のタックルが私を襲う。咄嗟の判断で、目だけで一松に助けを求めると、彼はため息をついて歩み寄ってきた。
「…十四松、おすわり」「わん!」「犬か!」
ま、まぁ、大人しくなってくれたからよし。そしてそんな私たちを数歩離れた位置から見守って(?)いるおそ松の姿が。
彼に手招きされたので、騒がしい空間から抜け出して彼の元へ向かう。
「おそ松、復活してたのね」
「ああ、おかげさまで♪」「私は何もしてないわよ」
「にしても酷いよなぁ、。カラ松の隣で寝てたんだろ?俺じゃ絶対警戒しそうなのに、あいつはいいんだ?」