第14章 表裏一体
「く…ッ!俺が不甲斐ないばかりに…許してくれブラザー…!」
だからそこで泣かれると、余計に罪悪感が増すんですけど?!
「……カラ松。やり過ぎたわ、ごめんなさい」
「!…」
「あんなものでも、あなたたちが大切にしていた私物には変わりないものね。なんなら弁償…「いや、いいんだ…」え?」
「さっきのは全体の10%分にしか過ぎないからな(ドヤァ)」Σ「どんだけ溜め込んでんのよ!!」
呆れて物も言えないわ…私はまだまだこいつらを見くびっていたようね。
「…それで、どうだ?室内は当時とあまり変わらないだろう?」
「え?」
見渡してみる。確かに、うっすらと残っている記憶の中の部屋と、そう大差ないように見えた。
「うん、そうね…懐かしい」
「…」
たまにここで、みんなと一緒にお菓子食べたっけ。ほとんど横取りされてたけど。
「…あの頃を、思い出しているのか?」
カラ松が神妙な面持ちで尋ねてくる。私は彼の隣に腰を下ろして、苦笑した。
「まぁ…ね。ここでもよく虐められてたなぁって」
「そ、それは…本当に悪かったと思っている」
「ふふ、もういいわ。私なりに復讐もしたんだし、恨みはなくなった。だから…お互い過去のことは、水に流さない?…また、みんなと…」
「……?」
「…なか…よ…く……」
瞼が自然と降りてくる。そういえば今日早出だったから寝不足で…眠くなってきちゃった。
「…ごめ、ん…カラ松…少しだけ、眠ってもいい…?」
「…!」
「みんなが帰ってきたら…起こして…」
彼の肩に、体重を預ける。それからゆっくりと目を閉じた。
無防備すぎかな…でも、彼の傍にいるとなんだか安心する。
「…君は…俺を信頼してくれているんだな」
夢の中に堕ちる直前…彼の声が耳に届く。
…けれど、意識は遠ざかっていくばかり。
「……俺にとっては嬉しいが…男としては…複雑だ」
……ああ、もうだめ……
「…今は、君の信頼に免じて何もしないでおく。…だが…
俺は君が思っているほど、優しい男ではないからな…」
…カラ…まつ…?
声は、出ない。……そこで私の意識は、完全に途切れた。
***