第14章 表裏一体
彼の真剣な表情を見て危険はないと判断した私は、素直に家の中に上がることにした。
それにしても、謝らせたいってどういう意味だろう?一応再会した時に過去については謝罪してくれたし、他に何が…
「…おそ松」
居間に入ると、寝転がってテレビを見ているおそ松の姿があった。カラ松が呼び掛けると、彼は気付いてこちらを見やる。
「おー、戻ったのかカラ松。さっきのチャイム誰…って、え!?なんでいんのっ?ま細かいことはいーや。もしかしてー俺に会いに来てくれt「おそ松。テレビを消せ」「はぁ?なんでだよ」「いいから消せ」「……仕方ねーなー」
不満げに口を尖らせながらも、言われた通りにテレビを消すおそ松。
カラ松は彼の横に正座したかと思うと、おもむろに彼の頭を上から掴み、自身と一緒に無理やり土下座させた。
「いでででで!?ちょ、離せバカラ松!」「!すまなかった!!」 Σ「え、えぇ!?私?!」
いきなりのダブル土下座!?困惑しかない!というかなんで私土下座されてるの?!
「…3日前、暴漢に襲われてショックを受けていたところに、さらに追い討ちをかけるようにとんでもないセクハラをされたらしいな」
「え?あ、あー…」
謝るって、そのことかぁ…闇に葬り去りたい黒歴史が再び甦ってきたわ…
「こいつ本人から聞いたんだが…全く反省の色を見せていなくてな。次に君に会った時には無理やりにでも謝らせようと思っていたんだ。…本当に、本当にすまなかった!!」ぐぎぎぎ「いだいいだいいだい首の骨折れるぅぅぅ!!」
「…カラ松。いいの、離してあげて」「!いや、しかし「死にそうだから」ああ、そういう意味か…」パッ
相当強い力で押さえ付けられていたのか、カラ松が手を離してもおそ松は「うぅ〜……」と唸るだけで体を起こさない。…助けるのが遅すぎたかしら?まぁいいか、放っておこう。
でもまさか、カラ松がおそ松の代わりに謝ってくれるなんて。彼って実は6つ子の中でもわりとまともな方…?ただのイタいナルシストだと思ってたわ。
「、あの…」
「そこで伸びてる長男はともかく、あなたからはちゃんと謝罪の意思が伝わってきた。…だから、もう許すわ。元々そこまで怒ってなかったしね」