第9章 松野トド松という男
バイト帰りの午後2時半。私の足は自宅ではなく、松野家に向かっていた。
おじさんとおばさんには申し訳ないけれど、いい加減こっちも堪忍袋の緒が切れたわ。
なんっなのよ毎日毎日毎日毎日!飽きもせずに私の元にやってきては、そのほとんどの目的がしょーもないものばっかり!貴様らの頭にはエロしかないんかい!!
特におそ松くんと十四松くん!はっきり言ったわよ、セ○ロスだのラブホだの!十四松くんに至っては完全に騙されたわ。
私はもう誰も信じない…後は末っ子のトド松くんがいたはずだけど用なんてないわ。
博士に新たに作ってもらったこの特殊波動砲…バズーカの数十倍の威力を誇るこいつを使えば、松野一家は跡形も残らない、まさにジ・エンドよ!両親巻き添え?なんのことかしら。
ふふふ、着いたわ。この家を見るのもこれで最後…名残惜しいけれどお別れね。
私は波動砲を肩に担ぎ、照準を松野家全体に合わせる。もしかしたら隣の家屋にも被害が出るかもしれないけど、松野家の近所だった不運を恨むことね!
「ちゃん♪何してるの?」ぽむっΣ「ひっ!?」
突然空いている方の肩を叩かれ、ゆっくりと振り返る。視線の先にはニコニコ顔のトド松くん(多分)が立っていた。
「あ、ご、ごき、ごきげんよう…」
くっ、誰にもバレずに消滅させるつもりが…作戦失敗!
「なんだかすごいの持ってるけど、それなぁに?」
「え?!あ、あー、知らないの?これは今流行りの健康器具でね!」
そんなわけない!
「ふぅん、初耳だなぁ」
「ほ、本当よ!こう、肩に担いで体を左右に動かせば、全身ストレッチ効果や肩凝り改善なんかも期待できちゃう優れものなんだから!あははは、は…」
そんなわけない!!