第7章 松野一松という男
四男…一松…
一松くん!?なんか闇のオーラすごくない?!
「ああ、まだ混乱してる?無理もないよね…いきなり窓蹴破ってよく分かんない生き物が侵入してきたんだからさ」
「あ、あなたが…もしかして…」
「ヒヒッ…そうだよ。さっきのは俺。なんか大人になってから猫に変身できるようになっちゃったんだよね」
猫に、変身…?
あ、どうしよ、やばい。意味分かんなすぎてSAN値ピンチだ。
「…信じられない?もう一回変身する?」「いえあの…信じるので勘弁してください…」
こ、この際、なんで猫に変身できるのか、そもそも猫に変身ってなんなんだってことは隅に置いておこう。こればかりは気にしたら負けだと思う、うん。
それより!ぜんっぜん普通の人間じゃなかったよね?!まだなの?まだ私の考えは甘かったの?!
「い、一松くん…なんで窓から、しかもよりによって浴室に侵入しようと…?」
「どうせあんた、玄関で張ってんだろうなと思ったから、裏をかいただけ。浴室はたまたまだけど…強いて言うなら、ラッキースケベ狙い?」
よし、殺ろう。
「なぁにがラッキースケベだって…の!!」
素早く足を振り上げ、踵落としを食らわす…
はずだった。
パシッ「な!?」
彼は私を遥かに凌駕するスピードで反応し、頭上に両手を掲げて私の足を受け止めたのだ。
ぐぐぐ…「……ふぅん。女のくせに力強いじゃん」
「くっ…!離しなさいよこの猫男!」
「…それが人に物を頼む態度?」
「は……痛ッ!」ギリッ…
掴まれた足に力が籠る。骨が軋むほどの激痛が走った。
「いったいってば…ッ!離せ離せ離せ!」
「……違うなぁ。
¨離してください、一松様¨
だろ…?」