第38章 トド松とハッピーエンド
人生初の告白、人生初の恋人、そして…
人生初の、旦那様。その相手に、私が選んだのは…
「えっとぉー、
ダブルベンティヘーゼルナッツアーモンドブラベウィズエクストラホイップウィズチョコレートソースエクストラコーヒーコーヒーフラペチーノライトアイス
で♪」
「か、かしこまりました。お連れ様は?」
「…あ、普通のコーヒーでいいです…ショートで…」
「かしこまりました…」
先ほどの最強呪文を唱えていた彼がそう。松野トド松、別名トッティ。今から約一年ほど前に私の旦那様となった人物である。
が、しかし。
「あー、やっぱスタバァのドリンクっておいしー!同じ業界の中じゃトップクラスって言っても過言じゃないよね〜♪ももっと可愛いの頼めばよかったのに☆」
「ああ、うん…今度ね…」
実は私より女子力が高いんじゃないかというほど女子力が高い彼は、昔の悪戯大好き悪魔ぶりはどこへやら、夫婦となった現在もより一層高い女子力を発揮していたりする。
見てください、この服装。ピンク色が入ってますよ?ネクタイとかハーフパンツとか。帽子も小洒落たデザインだし、バッグも女子が持ってそうなトートだし、元々男性にしては可愛らしいルックスなだけに遠目から見れば完全に女子ですよ?もしくは中性的なモデルか何かですよ?
だが男だ。旦那だ。
ズズズーッ「………」「どうしたの、怖い顔して。せっかくの美人が台無しだよ?」ズズズーッ「…気に入らない…」「え、何が?!」
下手すれば私より肌が綺麗なんじゃない?しっかり手入れしてるのに負けてるとか女としてそこどうなの?いえ妻としてどうなの?専業主婦だけど時間のある時は好きなことしてストレス発散してるから肌荒れとは無縁だし、かといって特別鍛えたりもしてないから最近ちょっと太り気味…ごほん、いえそんなことはどうでもいいのよ、私が言いたいのはつまり
「…ねぇ、トド松」
「なぁに?」
「最近、何かいいことでもあった?」
「へ?」