第34章 カラ松とハッピーエンド
彼は私の手を掴んだまま、試着室まで入ってきてカーテンを閉める。そして荒々しく唇を奪われた。
「んんっ…///」
「…っは……っ///」
二人きりの静かな空間に響く、互いの唾液が絡み合う音。
誰も来ないことを祈りながら、私は彼の首に腕を回し、束の間の快楽に酔いしれた。
やがてどちらからともなく唇を離し、彼の熱っぽい瞳をまっすぐに見つめ返す。…一瞬、時が止まったかのように思えた。
「…すまない。いきなりでびっくりしたか…?」
「…ううん、大丈夫。でも急にどうしたの?」
「いや…君の姿があまりにも…き、綺麗だったものだから、つい…///」
「あ…///」
改めて、自分の格好を見下ろしてみる。こんなに露出が多くて可愛いドレス、似合わないと思ってたけど…綺麗ってことは、褒められたのかな…?
「に、似合ってる…?」
「!あ、ああ、もちろん!今すぐ結婚したいくらいだ!」
「えっ///」「あ…!///」
なぜか二人で固まってしまう。けれど次第におかしくなってきて、自然と笑みが溢れ、笑い合った。
「俺もスーツを借りればよかった。せっかくの君の花嫁姿なのに、これでは格好がつかないな」
「ふふ、まだ花嫁じゃないわよ?」
「ああ、分かっている。¨まだ¨な。俺としては、今すぐこの場で君にプロポーズをしてもいいくらいなんだが」
「!///」
「冗談だ、そう赤くならないでくれ。…煽っているようにしか見えないぞ」
「な…っ!///」
反論しようとしたけれど、再び深く口づけられて動きが封じられてしまった。
…二人きりの時に見せる、男らしい彼の魅力に、私は弱い。
彼になら、私は自分の全てを捧げられる。結婚だって、いつかは…
「…ね、カラ松…」
「ん…なんだ?」
「いつかは、ちゃんと…プロポーズ、してね?///」
「っ///…ああ、待っていてくれ。…それにしてもどれだけ煽れば気が済むんだ、このままでは俺の心臓が…!」「?」
…彼と家族になれたら、どんなに幸せだろう。
だから、ずっと待ってるからね?未来の旦那様―…
《Happy End》