第30章 君に捧ぐ誓い【カラ松】※
私たちは近くにあったベンチに腰を下ろすと、彼が一呼吸置いてから語り始めた。
「一時間ほど前のことだ。俺は君を迎えに行くために家を出たんだが…」
「うん」
「道のりを半分ほど進んだ辺りで、肝心の傘を持ってき忘れたことに気付いてな」Σ「バカなの?!」
そういえば服(ツナギ)がなんとなーく濡れてるなとは思ってたけどそういうこと?!雨思いっきり降ってたのに半分進むまで濡れてることに違和感覚えなかったのが逆にすごいわ!
いやでも、カラ松って前も傘差してなかったような…わけわからん…!
「それで、近くに店があったから傘を買いに入ったんだが…」
「うん」
「レジに並んで金を出す際に、財布を持ってき忘れたことに気付いてな」Σ「だからバカなの?!」
どこか抜けてるっていうか鈍いっていうか…!
「で、何?お金がないのはわざとなんじゃないかとか変な疑いかけられてああなったの?」
「いや、違う」「?じゃあ…」
「そこのレジの店員が麗しきレディ…つまりカラ松ガールズだったものだから、これはイケる!と思い、
口説いて俺に惚れさせ、傘をタダで譲り受けようとしたんだが悲鳴を上げられてしまい、あえなくお縄となってしまったのさ☆(ドヤァ)」Σ「いやバカすぎでしょ!クズなの死ぬの?!」
ゼーハーッゼーハーッ…
つ、ツッコミでこんなに息切れしたのは初めてだわ…酸素、酸素求む…!
「?どうしたんだ、苦しそうだぞ」「だ、誰のせいだと…!」
本当はもっと怒りたい。怒りたいんだけど、
やってることがズレまくりとはいえ、本人に悪気はなくてなおかつ、全て私のためにした行動だと思うと、
せ、責めるに責められないと言いますか…!うぅぅ、カラ松のバカー!!
「…そ、その、反省はしている。手間をかけさせて悪かった、」
「か、カラ松…」
そして素直!謝られたらそれこそもう何も言えない!
「……べ、別に悪いことしたわけじゃないし…あ、いえ、タダでもらおうとしたのはいけないけど…私は、そんなに怒ってないわ。反省してるなら、許してあげる」
「っあ、ありがとう!」
十四松ばりの天使スマイル、だ、と…!?