第30章 君に捧ぐ誓い【カラ松】※
「…わぁ、最悪」
コンビニから出た私は、絶え間なく降り注ぐ雨を見てため息をついた。
今日、降水確率10%とかそこらだったはずなのに、話が全然違うじゃない。傘なんて持ってきてないわよ、もう。
局地的なやつかもしれないし、急いで帰る必要もないから、ここで少し待ってよう。
屋根の下で雨宿りをすることにした私は、暇を潰すためにスマホを取り出した。
あ、メッセージ来てる。
この前、おそ松にトド松のスマホの電話番号を教えてもらったのよね。というか勝手に向こうから教えてきたんだけど。『いつでも連絡してくれよな!』とか言ってたけど、あくまでトド松のよねこれ。長男の権限でもあるのかしら。
で、次の日電話をして正式に連絡先やらなんやらを交換した、そこまではよかったんだけども。
あいつら、調子に乗って毎時間何かしらのメッセージを送ってくるのよね。トド松もいい迷惑なんじゃないかと思ったけど、彼も相当な頻度で送ってくるから所詮同類よ。
内容はまぁ、当たり障りのない挨拶めいたものから、口説き文句、しょーもない雑談まで。
えーっと、このメッセージは…
『ちゃん、仕事もう終わった?すっごい雨だから、気を付けて帰ってね!』
ああ、この口調に可愛らしいスタンプはトド松ね。タイムリーな話題を振ってくれたついでに返信しておくか。
『今まさにそれで困ってるの。傘がないから雨宿りしてるところ』
送信してから、もう一度空を見上げてみる。真っ黒な雨雲が立ち込めていて、すぐには止みそうにないのが窺えた。
雨の音に混じって、メッセージ受信のメロディが鳴り響く。
『大丈夫?なんなら僕が迎えに行こうか?』
さすがトド松、優しいなぁ。こないだのクズっぷりがまるで嘘のよう。もう許したけどね。
気持ちは嬉しいけど、松野家からこのコンビニまで徒歩だとそこそこ距離があるし、わざわざ来てもらうのも悪い気がする。
『待ってたらそのうち止むかもしれないし、もう少し様子を見てみるわ。ありがとう、トド松』
再度メッセージを送って、数分が経過した。
……返事がない。これで会話は終了?